難聴のことを保育園で理解してもらえないとき

こんにちは。岩尾です。

 

この時期、福岡市では、療育センターの先生が、保育園に訪問支援に行ってくれます。

 

これは、保育園からの要請が必要です。

なので、保護者から保育園に、こういうサポートがあるので、ぜひ利用してもらえませんか?とお願いして、保育園から申し込んでもらう形になります。

 

 これは、非常にメリットがあるので、ぜひ利用してみてください。

 

 

 

どんなメリットがあるかというと・・・

 

まず、療育に慣れた先生が、ふだんの保育園での子ども・保育士さんの動きを見て、アドバイスをしてくれますので、保育園の先生に、効果的なサポートの仕方がわかるようになります。

 

また、子どもの様子を療育センターの先生から教えてもらえます。

保育園の先生の視点では気づけない療育的な視点で見てもらえるので、実際のところがわかります。

 

このことを共有して、また、保育園の先生と保護者側で再度話して、どのようにやっていきましょうかというところを決めていきます。

非常に有効な取組です。

 

ただし、保育園の先生が、保護者の言うこと、療育センターのアドバイスを受け止めてくれるならです。

 

療育センターのアドバイスなどを100%反映できないことは当然あり得るので、それは、保護者としては理解しておく必要がありますし、100%反映できなくてもいいと思います。

いろんな状況があるので、できる限り反映してもらえればありがたいことです。

 

難聴は、「見えにくい障がい」と言われていて、残念ながら、難聴のことを理解しようとしてくれない先生は実際にいます。

もちろん、理解してくれる先生の方が多いはずですが、理解してくれない先生が実際にいることを確認していますし、うちも実はそういう先生に2年連続当たってしまいました。

 

理解しようとしてくれない先生は、

「○○ちゃんはちゃんと動いてますよ」

「こちらはちゃんと言葉を繰り返しているのに、なぜできないんですか?」

「このぐらいの年代の子はみんなそうですよ」

といったことを言います。

 

ひどい人は、

「○○ちゃんは、サインを使うより、ことばを聞く訓練をした方がいいと思います」

「動けないのは、難聴だからか、性格かはまだわかりませんからね」

などと言う人もいます。

 

実際、このような人は、1年間保護者、専門家が訴えてきても、全く変わることはありませんでした。

もちろん、人によっては変わる人もいるかもしれませんが。

 

以上児クラスの非常に重要な時期にこのような先生に当たってしまうことほど不幸なことはありませんが、もし、当たってしまった場合、主任の先生、園長などに、まず、相談することをお勧めします。

 

そこで、担当窓口を変えてもらうことが、まずやりやすい改善策の第一歩かなと思います。

ただし、担当窓口を変えても、理解してくれない先生がそのクラスのリーダーの場合、やり方はなかなか変わらないかもしれませんが、主任の先生や、加配保育士さんがいるなら加配保育士さんなどを巻き込んで、なるべく、理解のある先生にサポートのお願いをする体制を作っていくことが大切です。

 

そして、担当を変えられた前任者から、新任者へ保護者を悪者にされて伝えられている場合がありますので、なぜ、担当を変えてもらったのかを、落ち着いて、相手を非難するわけではなく、こういう状況だったので変えてもらいましたということを新任者に伝えておいた方が絶対にいいです。

かなりの確率で悪者にされてしまうので、もちろん、同僚の意見を信じることが多いでしょうが、それでも、経緯を事実に基づいてしっかり伝えておくべきだと思います。

そうすれば、すぐには信じてもらえなくても、時間と共に、わかってくれるはずだとは思います。

 

僕は1年間、先生の方針や気持ちが変わるのを待ったんですが、何も変わらず、心底後悔しました。

あまり言いすぎて子どもに危害を加えられてはたまらないという思いもありました。

それほど信用できなくなっていました。

ただ、何も言わずにいたら、子どもが社会で生きていく力をみすみす伸ばせないままになる。

これは、危害を加えられたも同然だと思い(もちろん、本当に危害を加えられるより、何にもしてもらえないで生きてくれていた方がいいには決まってますが)、園長に話をしてみましたが、もっと早く話せばよかったと思いました。

 

まずは、窓口変更のお願いですね。

そして、窓口の先生や、加配保育士さんなど、理解してくれる先生とやりとりできるようにすることです。

 

相手が変わってくれるように関わっていく方が前向きですが、なんせ時間がありません。

申し訳ないですけど、そのような人が変わることより、自分の子どもがよりよい生活をできる環境にする方がはるかに優先順位が高いです。

 

では、園長や主任にも理解してもらえない場合はどうするか?

 

できることなら転園を考えた方がいいです。

難しいのは十分わかってますが・・・

 

最近は、10月の無償化に向けて、新しい保育園が結構作られています。

転園できないまでも、可能であれば、そういった保育園に話を聞きに行って、情報収集しておくといいと思います。

 

なぜ、自分の知らない難聴のことを、専門家や当事者が説明しているのに、理解しようとしてくれないのか?

なぜ、「そうなんですね」と受け止めることができないのか?

そのことが理解できないし、非常に悲しいことです。

 

当事者である保護者は、子どもの状態、難聴とはこういったものですとまず説明します。

子どものことを知ってもらおうと伝えるのです。

保育の方法に口出ししているのではありません。

他の子より、ちょっと特徴のある我が子のことを知ってもらいたくて伝えているだけです。

ここを受け止めてもらえず否定されては、永遠に信頼関係は作れません。

その人のスキルがどんなに高くても、難聴児の根本を理解してもらってない先生に、難聴児の健全な発達は促せません。当たり前ですが。

 

素人の保護者の言うことを受け止めるのはプライドが許さないのだとしたら、それは大きな間違いです。

難聴のことに関しては少なくとも保護者より知らないはずだし、知らなくていいことです。

そんなことも知らないの?と思う保護者はいません。

 

本当のプロは、「知らない」という姿勢でいます。

自分の専門分野でも、「知らない」という姿勢で物事に取り組みます。

 

そういうプロがいるからこそ、昔セオリーだったことが、実は違っていたということで、よりよいやり方が今もどんどんできているわけです。

けがをしたらオキシドールに絆創膏とかガーゼというのは昔セオリーでしたけど、実は違ってて、キズパワーパッドの方が断然早く治るということがわかったわけです。

「知っている」という姿勢であればたどり着けないことです。

 

知らないことがあることが格好悪いことではないし、信頼が落ちるわけではありません。

知らないことがあってもいいし、知らないことを知らないと言ってくれる方が信頼できるし、話を聞いてくれる新人の方が、話を聞いてくれないベテランより、断然信頼できます。

 

何も難しいことをお願いするつもりはありません。

見えにくい障がいだからこそ、保育園の先生には、保護者の話に普通に耳を傾けてくれること、まずはそれだけを切に願っています。

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コメント: 2
  • #1

    あいか (火曜日, 06 7月 2021 23:22)

    とても細かく分析して書かれていますね。私は保育士していた且つ今自分の子どもが難聴と向き合っているので気持ちが分かります。
    お疲れ様でした。

  • #2

    そらいろ 岩尾 (水曜日, 07 7月 2021 08:30)

    あいかさん、コメントありがとうございます。

    実は、結局新しい担当も、理解してもらえない前任者に取り込まれてしまって、最初は話を聞いてくれたのが、全然理解を示そうとしてくれなくなり、転園をしました。
    転園先は非常に理解してくれ、1年4ヶ月ちょっとを有意義に過ごさせてもらいました。
    保育園の先生たちにも、あの動画が届いてくれるよう願っているところです。
    ありがとうございます。