共生社会の拡充を考えている行政関係の方へ

ここでは、難聴の子どもとその家族に焦点を当て、この社会で共生していくために改善できると助かる現状の課題を紹介しています。

社会的な課題につきましては、私たちだけでできることはほとんどありません。

いろんな方のご協力と共に、私たちも現状の改善を少しずつ進めていきたいと思っています。

ですので、「力を貸せそうだ」と思われた方は、ぜひ、ご連絡をいただけると嬉しいです。

 

些細なことの情報提供でも大歓迎です!

ぜひ、お力を貸してください。

難聴の未就学児の預かり先の確保 ⇒ 難聴の未就学児が利用できる児童発達支援施設が2019年から利用できるようになりました!


難聴の未就学児の預かり先の確保のイメージ

福岡市では、聴覚特別支援学校の幼稚部に通う場合、幼稚部が終わる14時以降、子どもが利用できる施設がありませんでした。幼稚部が長期休暇の場合も同じです。

そうなると、両親(がいれば)のどちらかが仕事を辞める(もしくはアルバイトなどに移行する)選択をせざるを得ず、ほぼ母親が辞めている(移行している)現状があります。

 

経済的理由で共働きをする必要がある家庭もありますし(もちろん一人親の場合も)、様々な理由で仕事をしたいと考える人もいます。

療育が必要な子どもがいるにしろ、いないにしろ、このことで仕事ができるかどうかが左右される社会であってはならないはずです。

 

これを受け、何とか14時以降も子どもが利用できる場所を作れないかと動いていました。

そんな中、たまたま知り合った福岡県議会議員の大田京子さんが相談に乗ってくれました。

大田さんのアドバイスのもと、アンケートを取ったり、下準備を進め、県議会で代表質問をしてもらえる運びとなりました。

 

僕もその議会を傍聴しましたが、知事が、「関係機関と協議を進めて参ります」と回答してくれました。

 

その後、大田さん経由で県から市に働きかけてくれ、福岡市と話し合いの場を設定してもらえました。

 

その場で、福岡市さんは、話し合うまでもなく、難聴児に関しては行き届いていない部分があったと認めてくれ、運営する事業所さえあれば、児童発達支援施設の申請を受け付けますと回答してくれました。懸念した受給日数についても、幼稚部との併用を見越した日数を出してもらえました。

 

その後、難聴児に特化した放課後等デイサービスを運営しているスケッチブックさんが準備を進めてくれ、2019年4月から児童発達支援施設がスタートしました!

 

当初は、14時以降の預け先を確保するために動いていましたが、児童発達支援施設は、子どもを預かる場所ではなく、療育施設です。幼稚部での療育を終えて、再度療育をすることになるメリット・デメリットありますが、そこも踏まえてプログラムを組んでもらっています。

そして、結果として、保護者のQOL(クオリティオブライフ)、家族の生活水準も確保できるようになりました。

 

ご協力いただいた皆さん、本当にありがとうございます!


障がい児保育制度(加配)の対象となれば、誰もが利用できるようにしたい


加配イメージ

各自治体によって名称は変わるようですが、障がいを持った子どもが保育園等に通う場合、規定の保育士人数に加えて、余分に保育士を配置できる制度です。福岡市では「障がい児保育制度」と呼ばれています。

一人に1日付きっ切りというわけではありませんが、一人増えることにより、何らかの配慮が必要な子どもの面倒を見やすくなるという、園にとっても、子どもにとっても、保護者にとってもありがたい制度です。

 

加配保育士を配置するためには、療育センターなどの意見書、保育園からの意見書をもとに、第三者委員会が審査し、軽度、中度、中度より重いという3段階の判定を出します(もちろん、制度の対象外という判断もあります)。

審査が通れば、程度に応じて、余分に雇う保育士さんの雇用費が、市から助成されます。

しかし、この助成費は当然ながらフルタイムの1ヶ月分の給料相当までは出ません。月に6~10万円強程度です。

1日3時間だけ、5時間だけ働きたいという人もいるでしょうが、フルタイムで働きたい人が多いはずで、フルタイムで募集をかけないと求人への応募が集まらない可能性は高く、そうなると、人件費が予定より少し多めにかかることになり、経営が厳しい園では、申請自体が難しくなります。

 

また、申請は通ったとしても、保育士の募集に応募がこなければ、当然保育士を増やせません。

もちろん応募はあっても、基準に満たなければ採用できませんので、加配保育士を配置できないことになります。

 

つまり、加配保育士が必要だと判定が出ているのに、保育士を確保できないために配置できないという事態が想定され、この事態は、少ないようですが現実に起きています

 

せっかくの制度が、このような形で運用できなくなるのは子どもにとっても園にとっても非常に残念なことです。

 

従来の雇用費の助成というパターンはあっていいと思いますが、求人や雇用が難しい場合、何らかの措置で、加配保育士を配置できるようにしてほしいと考えています。

 

例えば、市が雇用した加配保育士を派遣するといった措置や、

もし加配保育士を配置できなかった場合、希望すれば、配置できる園に転園できる措置など、

サポートが必要な人であれば、環境によらず制度を使えるようなシステムに改善できることを切に願っています。

もちろん簡単ではないことはわかっていますが、少しずつでも改善してもらえればと思っています。

 

お力添えできる方がいましたら、ぜひご連絡をお願いします。

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保育所等訪問支援制度を、通っている療育センターで使いたいが使えない


保育所等訪問支援制度についてのイメージ

月に2回が上限で、専門支援員が保育所等に訪問し、そこに通う障がいを持つ子どもの様子を見て、保育園等の先生や保護者に、集団生活適応のための専門的な支援を行ってくれるありがたい制度があります。

 

しかしながら、福岡市の公的な施設では、人員不足のため、一人年3回程度とされていて、なおかつ、一部の施設には、実施は約束できないという回答をもらっている状況です。

民間でこの制度を使えるところもありますが、ずっと通っていて様子もわかってくれている施設の方が訪問してくれた方が、非常に有益で助かります。

 

新しいところに依頼するとなると、子どもとの信頼関係を築くところから始める必要があり、療育に通いながら、さらに民間の施設に通うとなると共働きでは難しいですし、仮にできたとしても時間がかかり、いつ始められるのかもわかりません。

 

公的な施設で訪問支援担当の方を増員することができれば、担当の先生は訪問できなくても、情報共有できますし、子どもにとっても家族にとっても、園にとっても三者にとって非常に大きな効果を得ることができます。

 

療育センターなどでの訪問支援員の増員について、どのような働きかけができるのか、こんな解決策はどうだろうか?といった情報など、お力添えできる方がいましたら、ぜひご連絡をお願いします。

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就学相談のやり方を改善したい


保育所等訪問支援制度についてのイメージ

障がいを持つ子どもで、特別支援学校や普通小学校の特別支援学級、通級教室などを希望する人たちは、必ず「就学相談」というものを受けなければいけません。

相談自体は、国の規定で受けなければいけないとなっており、その相談方法などは各自治体に委ねられています。

 

福岡市では、専門家などがいる場所に子どもを連れていき、面談を行います。その後、「判断」という形で通知が届きます。

この通知は理由も何もなく、「特別支援学校」など一言書かれたものが送られてきます。

判断が家族の意向と違う場合は再相談ができます。

 

結果的には、保護者の意向で選択できるとのことですが、希望と違う判断をされた場合、「落とされた」という形になり、家族は落ち込みます。

再相談はできますが、決定には従った方がいいと考える保護者もいますし、再相談しても、小学校側には、教育委員会の判断と違う選択をしたいとの話がいくことになり、小学校側にも余計な不安を与えてしまいます。

間を取り持つ発達支援センターも板挟みとなり、誰もが無駄なエネルギーを使い、誰もが不幸になるシステムと言えます。

 

また、何らかの障がいを持っているけど普通学校にいきたい人には、就学相談ができません。

あくまで就学の場を決めるための相談なので・・・という見解ですが、むしろ、そういう人にこそ相談は必要であるといえます。

保護者が単独で学校側に説明しても(もちろん、いずれにしても保護者は説明しますが)、聞き入れてもらえない可能性もあります。まさに人次第です。

そんな時に、教育委員会の仲介があってこそよりよい協力関係ができやすくなるはずだし、小学校の情報を踏まえた相談ができる場であってほしいと思います。

 

①小学校の情報を聞かせてもらいながら相談する場

⇒②専門家を踏まえての相談の場

⇒③判断ではなく、通知。希望と異なる選択を勧めたい場合は再相談の通知。

 

このような流れにできないかと考えています。

 

もし、何かいいアイディアをお持ちの方、うちの市ではこんないいシステムがあるよという情報など、ぜひ教えてください

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聴覚障害の障がい者認定基準を下げたい


保育所等訪問支援制度についてのイメージ

日本の聴覚障害の障がい者手帳認定基準は、両耳が70dB以上、もしくは片耳が50dB以上、もう片耳が90dB以上で一番下の6級となっています。

 

つまり、60dBの人たちは聴覚障がい者と認められません。

障がい者と認められないことがまずいわけではなく、障がい者と認められないということは、補助金や制度が使えない部分が出てくるということで、これが問題となります。

 

また、軽度・中度難聴の人たちは、認定基準に入ってないことで、自覚しづらい(補聴器を付けるという発想にいかなかったり、聞き取れない自分が悪いと思い込んだりなど)弊害や、社会生活において、聞こえにくいことが理解されづらい弊害など生まれやすく、これも問題となります。

 

助成については、各自治体によって、補聴器本体は助成金が出たりしますが(自治体によって助成できるdB値も違います)、付属品は助成がないことが多く、不便な状況があります。

 

では、60dBの人は補聴器がなくても、それほど不自由しないのでしょうか?

 

60dBとは、1m離れた掃除機の音が聞こえてきて、「あ、何か聞こえる!」というレベルです。

非常に生活しにくいことは明白です。

ちなみに、普通に聞こえる人たちは0dBの音が聞こえています。

 

WHO(世界保健機構)では、41dB以上を聴覚障害とするという基準が推奨されています。

日本基準よりは随分いいのですが、しかし、40dBでも、普段の生活をするには非常に不便があるのは事実です。

欧米では、30dB前後が認定基準のようです。

 

2013年のWHOの調査では、聴覚障害者は人口比で5.2%とのことですが、日本では0.3%(2006年)です。

一方、自分を聴覚障害と認識している人の数(自己申告難聴者)は、人口比10.9%で、諸外国とも近い数字となっているようです。

また、自己申告難聴者における補聴器所有率は日本が14.1%、諸外国は24.6~41.1%で、非常に少ない数値となっています。

(EuroTrak 2012 より)

 

このデータを見ると、日本では、補助金がなく、補聴器を買えない人も出ているはずで、補聴器自体を使えず生活が苦しくなっているか、経済的に苦しくなっている中度・軽度難聴の方たちが多くいると推測されます。

 

ちなみに、40dB 以上の難聴者は人口の約5%、日本では約600万人存在するという説もあるようです。

 

この件につきまして、デシベルダウン運動などが昔からあるようで、いろんな団体の方が動いてくれているようですが、なかなか変わらないようです。

 

これを変えるには、

①力のある国会議員が問題提起し、一気に変える

②県議会にかけ、認定基準が変えられないなら、県費を使って補助金が使えない人たちを助成する(ただし、これは県特有の事情がない限り難しいよう)

③日本全国の自治体でこの件を問題提起し、国が動かざるを得ない状況に持っていく

今のところ、この3パターンではないかと考えています。

 

この問題は、うちよりもっと大きな団体が声を上げているにも関わらず変わっていないので、うちだけが声を上げてもなかなか変わらないように思います。

もし、賛同していただける他県の団体の方がいましたら、ぜひ、一緒に県議会にかける運動をしていきたいと思っています。

ご賛同いただける他県の団体の方、ぜひご連絡ください。

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難聴で生まれる子どもたちは、言葉が情報として入ってきにくいので、必然的にコミュニケーションが取りにくくなります。

難聴を持つ人の聞こえ方については、「難聴について」をご覧ください。

 

ですので、幼い頃からの「療育」という「聞こえとことばの訓練」が重要になってきます。

そして、難聴の療育は、親子で一緒にするスタイルが基本です。

療育をしながら生活していくためには、あると非常に助かる社会的なシステムやサポートが多くあります。

少しずつでも、社会的なシステムやサポートの改善が進められるよう、私たちも動いていきたいと思っています。

ブログにも随時アップしていきますので、ぜひこちらもご覧ください↓

 

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